読書記録(2020年):ソフトウェア・ファースト
今回の読書記録は
ソフトウェア・ファースト
かなりぐさっとくる内容だと感じたものの、その通りなのでぐうの音も出ないなと思いました。世の中のITを開発・使うすべての人、特にSIerの人は読んだ方がよいと感じました。(ただ、あまり心穏やかじゃなくなるかもしれませんが・・・)
読むきっかけは?
Twitter上で読むべきとよく流れてきていることが本を知るきっかけになったと思います。その中でSIerの人が読むとよいという内容があった気がするため、転職後もSIerとして働く自分としては読むべきだと思い、読むことにしました。
ちなみに自分は何をしている人か
- 前職と現職ともにSIer(前職はメーカーのIT子会社、現職はITベンダー)
- 事業会社の業務効率化のためのシステム開発経験
- プロジェクトマネジメントを中心、少し前はシステムアーキテクトを中心
※現職は2020年1月からなので、現時点では業務は何もしていない。
この本をなぜ読む?
以下の2つに関することを得れればなと思っていました。
- 今後ソフトウェアをSIer側として関わっていく際の考え方
- 現時点での世の中のソフトウェアの在り方と考え方
この本を読んでどうだった?
ITを「 効率化の道具」と過小評価
これは実際に自分が開発を行っている時に、強く感じていたなと思いました。事業会社でもただの効率化のためITへの期待があまりにも小さく、また、IT開発の丸投げ感が強かったと感じ、さらに、SIer側である自分たちもITを使って事業会社をよくしようとする意識が弱く、言われたことをただITに落とすのみ、かつ、ITによる価値を上げるための活動はできていなかったと感じていました。 また、実際に自分の経験だと、まだまだクラウドを実業務(R&D関連以外)では活用できておらず、さらに、開発方法も何も改善されていないままのウォーターフォールで開発し毎回時間がかかりすぎ、かつ、業務効率がされないといったことが多い状態になっていると思います。
上記以外のいろいろ思うことがありますが、ソフトウェアを軽視している雰囲気があることを指摘して頂いています。
DXの本質的な意味
この本では「ITの手の内化」が書かれており、上記の内容と被るが、ITを軽視せず、ITによって今のビジネスがより良くなることを意識していくことが重要と再認識させていただきました。2018年にある海外研修で、「世の中のすべての企業はITを活用してビジネスをしているため、どの企業もIT企業だと考えてITを開発していくべき」だというような内容を受け、それ以来は事業会社とSIer含めて、ITをビジネスのコアととらえ、「作って終わり」と考えず、「育てていく」いと考えていくべきだと思っていました。
このDXに関する捉え方や手の内化するための組織論も書いてあり、ぜひ各企業のIT部門以外の人も含めて読んでみるとよいと感じました。
「 π(パイ)型人材」
エンジニアとして今後のキャリアを考えるにあたって、今後はT型を発展させた幅広い知識と深い専門性×2の形をめざして自分だけの武器をもった人材になっていくとよいということが書かれており、どんどんエンジニアとしての価値を高めるためには、多くの勉強をしていく必要があることを感じました。実際に、今後の世の中は、「どこでも活躍できる人材」になっていかないと終身雇用もなくなり、手に職がないと生きていけない世の中になると強く感じています。
このような時代背景も含めて、ソフトウェアに関わる人のキャリアパスとそのための組織に関して書かれており、今後のSIerとしてのキャリアを考えるよい本だなと感じました。
おわりに
この本を書く事業会社の方が読み、ITの手の内化が本格的に進んでいったらSIerの規模は激減していくだろうなと思いました。10年後はもう今みたいな働き方はきっとできず、本当にスキルもっていないとITとして仕事できないだろうし、スキルがないと事業会社へ転職することも難しくなるかもしれないなと危機感を感じさせてくれる本だったなと思いました。
※そのために、ビジネスを向上のために適したソフトウェアアーキテクチャを考えられる人材になっていきたい。